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お盆の夜に

by ヤー子

「ヤー子さん、最近は夜遅うまで仕事しとらんのかね?」

「してないですよ、お義母さん。

去年はみんなが寝てからの仕事も多かったですけどね」

「そりゃぁよかった。

言うたらなんじゃけど、ヤー子さんも若うないけぇ、心配しとったんよ。」

「40ですもんねぇ」

「そうよ、去年から髪もパサパサになっとってから。

ヤー子さん、年とってから二人も産んだんじゃけ、あんまり無理しちゃいけんよ」

「おかあちゃん、さっきからヤー子さに何言いよるん!」

「い、いいんですよ、お義姉さん。

心配してくれてるのは伝わってマスカラ」

毎年恒例の義実家への帰省。

義母と義姉とのこんなやりとりもすっかりお馴染みになった。

いつも心配してくれている。

大雨や台風のとき、真っ先に電話をくれる。

息子の嫁というだけなのに。

そんなこと言ったら怒られるのだろうけど。

義母は、「嫁も家族」の人だから。

「仕事が変わったんじゃったかね?」

「そうそう、作るんじゃなくて、教えるだけにしたんですよ。

あ、でも、また変わるかもしれません。」

「また同じようなんになるん?」

「いえ、前みたいなことにならないよう、手を貸してくれる人たちがいて。

お義母さんが心配するようなことにはならないと思いますよ」

「それなら良かった。

ヤー子さんはもう若くないんじゃけぇ…」

「お母ちゃん、また!それならウチはなんなんね」

と、続く。

「落ち着いたらすぐに、あなたも検査した方がいいです」

五年前の冬に二つ上の姉の癌が分かった。

大した不調もなかったのに、突然ステージ4。

本当は十年以上前に発症していた、珍しい症例だった。

手術後に主治医から、思わしくない結果を告げられた後に、聞かされた。

「そうなる可能性は、あります」

姉の闘病、真っ暗で見えない先に進もうとしていた私と姉をあの時、夫と、義母を中心に義実家が支えてくれた。

嫁も、嫁の姉まで家族の人たち。

幸い姉は回復した。

私も無事だった。

驚くほど、助けてもらった。

「お義母さん、あの時はありがとうございました」

「うちは大したことしとらん。

そんなんええけぇ、スイカ食べんさい。ビールも」

「お母ちゃん、ビールとスイカは合わん!」

ニュースに出ていた、行方不明になった二歳の子供を見つけたおじいさんの言葉。

「かけた恩は水に流せ」

義母もナチュラルに流している人だと思う。

言葉は少しアレアレでも、行動が語る。

元気な姿を見せるだけで喜んでくれる人たちと、今年の夏も。

チビ1作画「かぞくぜんいん」

「○○ちゃん、若く描いてぇや」

「うん、バァバ、さーびす、するね」

photo by Masahiro

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