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いい人悪い人

by ヤー子

「ヤー子さんは、突然変異だったのかもね。」

お互いに忙しくて二年会えなかった、年上の友達に言われた言葉。

「その血でいるには限界が来た時に、それまでと全く違った個体が生まれて、遺伝子の保存を図るんだって。」

真昼のホテルのランチバイキングの席で、自然科学の話で盛り上がる私と友人。

そう言えばお互いお酒が好きなのに、飲まずに会うことが珍しかった。

出会った時には医学生だった友人はその後医師になって、相変わらず話の方向性はそっちだった。

血縁者たちと似ていないなんて話からの。

文系卒の私には自然科学は今でもからっきしだが、その友人が物事を感情ではなく、データやロジックで解析した話を聞くこと、自分とは違う視点で話をしてくれるのが好きだったことを思い出していた。

学校は違っても同じバイト先で出会えて親しくなった友達と久しぶりに会えて、話は尽きず。

「あれからも大変だったんだね」

という話の流れから溢した、一つの私の感想。

「いい人も、悪い人もいない気がした

んです。

良い面も、悪い面もあるってだけで」

あの人は良い人だ

あの人は悪い人だ

あれをしたから良い人、悪い人

あれをしなかったから良い人、悪い人

もちろん一方的な遺棄や暴力、疑いの余地の無い犯罪などは別にして、通常の人間関係の範囲で。

世界をまるで白か黒に分けるかのようにして「いい人」「悪い人」に分けてしまうと、行き詰まるような、道が途絶えるような気がした。

良いところと、悪いところがある。それだけ。もちろん自分がそうだから。

「お互いの良いところを、長い間見せ合えて付き合い続けられるということが、相性の良さなのかもしれませんね」

「あぁ、それって、分かるなぁ」

「今日はとっても充実した!また教えて?で、また会おうね」

この日はホームページのことを教えてほしいと言われ、私がその辺りのことを色々伝えた日でもあった。

ランチという楽しみ付きの。

彼女は卒業して北九州を離れ、医師になって、結婚して子供を産んで、家族とこの土地の近くに戻ってきた。

一番この土地と縁が薄かったはずの私がずっとここにいて、「お帰りなさい」が言えたのは面白いなと思う。

「はい、また会いたいです」

もしかしたら、彼女ともまた新しい関係が生まれるのかな、と淡い予感がして。

photo by Masarhio

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